ぱれっと最新作「恋がさくころ桜どき」の体験版をプレイし終えたので、その感想を書こうと思います。
えーまず、一言でこの「恋がさくころ桜どき」を言い表しますと……
幸せに満ちあふれている!!
です!
それほどにこの作品の中の空気は幸福感で満ちていました。
例えばハーレム系エロゲなんかもプレイヤーにストレスを与えない、ある種の理想の世界が描かれていると思われますが、この作品にあふれているのは、ああいったタイプの幸福感ではありません。
何と言いますか、「まっとうな」とか「正常な」とか「清潔な」とかそういった類の形容詞が似合う幸福感なのです。
まず主人公がめちゃくちゃ純粋です。
公式サイトの紹介とか、ゲームの中のはじめの方で、彼は「恋愛なんか興味ない」などとのたまっておりまして、個人的にはあーまたこのタイプの捻くれた野郎かと少しがっかりしてなどしていました。
しかし実際に話を進めていってみると、まったく捻くれてないし世の中を斜に構えた態度でも見ていない。むしろ実直すぎるほどに実直に世間と対峙していました。
つまり彼は彼なりに考えたすえに「恋愛なんか興味ない」なんて言っていたわけでして、傍から見ていて可愛げすら感じられました。男の主人公に可愛げなどを感じたのは初めてのことです。
彼はただ他の大勢と同じように、そして特殊な経験をしたことで少しだけ過剰に、「幸せ」について考えることをし、ずっと考え続けています。そして導く出された答えには逆らわず正直に行動に移す。猪突猛進というのでもなく、少々思い込みが強い節はあるにせよ、ゆっくりと自分が正しいのかを考えながら自分の行動を決めていく。そういう男なんです。これほど応援したくなる人物はいません。「お前の笑顔が見られると俺も幸せなんだ」みたいなクサいセリフを言っているのに、そこに嫌らしさを持たせない主人公なんてそうそうお目にかかれるものではありません。正直に言って今回「恋がさくころ桜どき」をやって、最も好感度が上がったのはこの主人公でしたし、そのままぶっちぎってヒロインズよりも気になる存在になってしまいました。エロゲとしてはどうなんだそれ、という感じかもしれないですが、自分はこのことにとても満足を覚えています。
そして他の登場人物もまた良い人だらけです。主人公が周囲の人々に気を配っているのと等しく、それらの誰もが主人公に暖かい目を向け返しています。みんながみんなまるで聖人であるかのようです。しかしそこに嘘くささがありません。彼らは正しくそこに存在して考えることをし、その結果としてプレイヤーに「良い人だなー」と思わせる行動をとっている、ということを強く思わされました。これだけ悪意のない人物を嘘くさくなく表現できていることにとても驚かされます。
それから何といっても演出全般がすごいことになっています。
システムボイスが充実しまくっています。
ゲーム内においても光る演出が随所に散らばっています。
CGを使わずに立ち絵で場面を形作る、という手法は他のエロゲでもしばしば見受けることができますが、それにしても「恋がさくころ桜どき」についてはそれらと一線を画しています。
まずわかりやすいところで言えば、ここです。
掲示板の前がざわついている。
美桜(幼馴染)が駆け寄っていく。
美桜が振り返る。「見て見てー」ってな感じ。
そして掲示板に貼られているものが映ります。
爽(右の男)「解散。解散っ」
このときには掲示板から目が離されています。
右の壁に掲示板が並んでいるのでそこを見ていたのだろうことが覗えます。
この臨場感!
んーすごい!
一人称視点であるエロゲの特徴を最大限生かしているかんじです。
お次は何の変哲もないドアの開閉シーン。
夕莉(クラスメイト兼風紀委員長)が教室の外にいて、
入ってきてドアを閉めて、
夕莉「あれ? 浅羽君、どうかした?」
この間、ドアの開閉はスムーズに動いて行われています。一枚絵の切り替えではありません。スタッフのこだわりがひしひしと感じられます。
朝起きてリビングに行きます。
こなみ(妹)と一緒です。
こなみ「おはようございます」
すると、画面が左にずれていって……
葵さん(母親)がいます。
このふたつの画面はつながっていまして、リビングという同じ場所を映しています。
その中で、リビングに入るという動作と、母親へと目を向けという動作を、いっしょくたにせずに別々のものとして描写されています。
このことによって、あたかも実際に自分がリビングに入って母親へと目を向けたかのような錯覚をさせられてしまいました。
ほんとすごいです。
家の玄関。右の棚があることによって臨場感が増しています。今にも手をかけながら靴を脱ぎだしそうなかんじです。
またこうしたアングルを丁寧に描かれることで、どのドアに入ろうか階段に上ろうか、とワクワクさせられる気持ちも生まれます。
自室で「春」について思いをはせる主人公。
安易に「真っ黒な天井」に逃げるのではなく、窓が映されています。
部屋の窓から外の桜が見えています。
物憂いですねー。
きっと何かしら悩むときもこの光景が映されるのでしょう。
こなみと二人で学食へ。
んで、演出といえばこれは「おおっ」と思わされました。
立ち絵が動くとかではないですが……。
謎の少女登場。
家の前のダンボールに入っていました。
恋の精霊だなんだと言ってくる少女。
ふつうであればわけわかんねーという感じです。
しかし主人公は過去に似たような姿をした人に会ったことがありました。
その人を思い浮かべます。
空を見ながら思い浮かべていたようです。
そして視点をもとに戻したら……
少女はいなくなっていました。
いるのは今さっき家から出てきたこなみだけです。
少女が画面いっぱいに描かれて非日常感をあおっていただけ、街灯の下のこなみが際立っています。
いやー。いいですわー。
これだけ街灯を立体的に感じられるエロゲはなかなかあるもんじゃありませんよ。
それでその謎の少女はティナと言いまして、なんだかんだ主人公の家に居候することになります。
昼から晩まで家にいて、もはや引きこもりです。
実際に主人公もそう言ってました。
ティナは本当に一歩も家を出ません。主人公に「恋をしろ」と言い、そのために来たはずなのにそのことについてもあまり強く言及したりしません。
この距離感がいいんです。ふつう、こういう「主人公にしか正体を知られていない妖精」の類は、主人公にまとわりつくものです。
しかしティナはそれをしません。
主人公も家の中以外でティナについて深く考えることをしません。
まったく物語の中から消えてしまっています。
それなのに不思議なことにティナの存在感は増していきます。
ただずっと家にいるティナはそのぶんだけ身近なものと感じられていきます。
そしてそのティナにこれを言わせるんです。
ティナ「おかえりなさい、です」
これはもう、ね……。
まんまとハメられましたわ。ライターさんにしてやられた感がすごくあります。
「おかえりなさい、です」の一言に対する安心感がじんわりと胸に広がっていきました。
あとは……杏(生徒会長)は一筋縄ではいかない感じがぷんぷんしますね。
というか主人公の周りの人間をどんどん取り込んでいくあのカリスマ性はどういうことよ。
さらには何やら死神とかとも関係がありそう?
夕莉と二人でコインランドリーでおしゃべり。
……を見ている杏会長。
あと最後に……自分は、主人公が啖呵を切るシーンって好きじゃないんですよ。
寒々しいというか。啖呵を切らせることによって「ちゃんと怒るときは怒れる主人公」をアピールさせたいライターの顔がすけて見えるというか。「これでお前らも胸がすっきりしただろ」みたいな。
まあとにかく自分はそういうの嫌いなんです。
しかし下記のこの場面では嫌な気持ちになりませんでした。
すごいです。
自分で自分に驚きました。
典型的な嫌いな場面であるはずなのに、嫌悪感がなく、それどころか主人公側の気持ちに立ってすらいました。
ただだからと言って杏会長に対して強い怒りを覚えるでもなく、「謝って当然だ!」などと思う気持ちもありませんでした。
あるのはモヤモヤとした憤りだけです。
ティナの「おかえりなさい、です」はこの場面の直後でした。
主人公がいろいろと悩みながら一人帰宅の歩を進めているところにティナが現れ、そこで「おかえりなさい、です」を言うのです。
この瞬間に自分は、「あっこれは神エロゲというやつになれるやつだ」と思いました。
いやもうほんと、それだけは言いたくて。
ほんとはもっといろいろ言いたいんですけど、あまり長々と書きすぎてもあれなんで。
CGとかストーリーの内容とかは実際にプレイをしてみてください。
そういえばCGほとんど貼ってないや。
CGもきれいでしたよ。一枚絵なのに瞬きするし。
あ、でもSD以外のCGはほとんど公式サイトに載ってるやつでしたので、よかったらそちらを参照してみてください。
ヒロインたちも期待通りにかわいかったです。
まあただそこらへんはそもそも心配してなかったし、この記事を見ている方も心配してないでしょうから割愛で。
個人的には夕莉が一番かわいかったです。
最終的に生徒会に入っちゃうところとか、強気な内側に脆さがありありと見えます。
この脆さの質がいい感じでしてね。
ってまた長くなりそうなんで、カット。
ヒロイン以外の登場人物もみんなよかったです。
保健室の奈緒さんよかったわー。
肥田も嫌な感じがなかったし、花子もなんだかんだ悪い奴じゃなかったし、登場人物は本当にみんな良い人ばかりです。
音楽はふつう。
最初と最後にムービーがひとつずつありました。合計二つですね。
いい感じでした。
最後のムービーは、
「これから恋人作って幸せになるぞー!」→「ムービー」→ちょこっとCパートてきなものを挟んで、体験版終了。
という流れで映されました。
システムも特別不便ではなかったです。
上でも書いたようにシステムボイスが豊富です。
……と、こんな感じで「恋がさくころ桜どき」体験版の感想を終えたいと思います。
やー、でも、ほんとによかった。
幸福感&臨場感!!!
あーもう。いいわー……。
(ぱれっと公式HPより)
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